『地獄の奇術師』読書感想文
おはようございます、うどんです。
本格ミステリ、好きですか?
私は大好きです。
本格ミステリの定義とか、新本格との違いとか、難しいことはよく分からないけど大好きです。
今回感想文を書く「地獄の奇術師」は、本格ミステリが好きなら、裏切られることはない作品です。
先日、二階堂黎人さんの「地獄の奇術師」を読み終えた。
せっかくなので、読書感想文的な雰囲気で感想を書きたいと思う。
ネタバレはないように気を付けて書こうとは思っているが、展開をにおわせたり配慮が足りずにネタバレしてしまった場合は、申し訳ございません。
~あらすじ~
十字架屋敷と呼ばれる実業家の邸宅に、ミイラのような男が出没した。顔中に包帯を巻いた、異様な恰好である。自らを「地獄の奇術師」と名乗り、復讐のためにこの実業家一族を皆殺しにすると予告をしたのだ。「地獄の奇術師」の目的は何なのか? 女子高生で名探偵、二階堂蘭子の推理が冴え渡る、本格探偵小説!
とりあえず読んだ感想をまとめてみると・・・
①地獄の奇術師という犯人像が魅力的すぎる
②王道を行くような密室殺人、そして最後にしっかりと待っている意外な結末
③ただし、「人狼城の恐怖」を読んだ後だとネタバレが多い…
大きくまとめるとこんな感じ。
①地獄の奇術師という犯人像が魅力的すぎる
もう、名前からして魅力があふれすぎてませんか?!
漢字で書いた時のおどろおどろしい字面はかっこいいし、声に出して読んだ時の悪役感も魅力的だし、それを自ら名乗る犯人も”THE 犯人”でかっこよすぎる。
更には顔を包帯で巻いて、復讐のために一家皆殺しを企んでいるという設定。
もう、理想の犯人像過ぎるでしょ!これだけでその後の展開は想像がついてしまうけど、その想像を裏切ることなく、期待以上の物語にしてくれるところは、さすがすぎる。
②王道を行くような密室殺人、そして最後にしっかりと待つ意外な展開!
犯人像が王道で魅力的なら、展開もしっかり王道!
パッと見ただけでは「破るの無理でしょ」と思うような密室や、犯人の消失に謎ばかり残る殺人方法・・・うーん、まさに本格ミステリ!
本格ミステリが好きなら絶対に読んで損はないし、子どものころ図書館で江戸川乱歩を読んでた人なら絶対に楽しめる。
読後に検索してみると最初から真犯人バレバレという話を見かけるが、これだけ昔の作品かつデビュー作で、これだけの展開ができるのは、それこそ意外な展開なのではないだろうか。うまいこと言った気がしたけどまったく意味不明なこと言ってるのは承知しております。
そういう意味では、本格ミステリに興味のない人や記載したようなおどろおどろしい雰囲気が苦手な人には合わないかもしれない。
③ただし、「人狼城の恐怖」を読んだ後だとネタバレが多い…
もうこればかりは本当に仕方ない。
なぜなら「人狼城の恐怖」は”江川蘭子シリーズ”の第五弾であり、この「地獄の奇術師」は第一弾であるのだから。
一応何となく伏せてる感はあるが、犯人についてはネタバレしている。
面白いのに、「人狼城の恐怖」に比べるとスケールもボリュームもトリックも犯人もすべてにおいて物足りない。
そして今の時代において、「人狼城の恐怖」きっかけ以外で「地獄の奇術師」を読む人はいない気がする。
ミステリの歴史に偉大な存在感を放つ「人狼城の恐怖」。その圧倒的なまでの存在感は、二階堂黎人さんの他の作品をも、陰に追いやってしまっているのかもしれない。
以上が「地獄の奇術師」を読んだ感想である。正直書いていて思った以上にネタバレしている気がする。申し訳ございません。
本のレビューを書くのは想像以上に難しかった。頭で展開は思い描いているのにずれていくし、伝えたい魅力を表現する文章も思いつかない。
でも、好きなことについて語る時間というのは、大変だけど楽しい時間でもあったと思う。
実は読み終えてからこの記事が載るまでには「吸血の家」を読み終えるほどの月日が経過しているが、自分の文章力的には仕方ない。
これからも本を読んだら、こういった形で記録に残していきたいなぁ。