うどん部屋

そこそこ家事をがんばるパパの、育児と読書中心の雑記ブログ

【貴族探偵】/麻耶雄嵩 読書感想文

おはようございます、うどんです。


先日、麻耶雄嵩さんの貴族探偵を読み終えた。
読み終えてから知ったのですが、嵐の相葉雅紀さん主演でドラマ化していたらしい。
ドラマは見たことありませんが、小説は面白かったので、ドラマが好きだった人ならオススメだと思います。

貴族探偵】/麻耶雄嵩 (集英社文庫

(5点満点)
おもしろさ:★★★★
オススメ度:★★★★
探偵の魅力:★★★★★

あらすじ

信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か?捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生!傑作5編を収録。

【「BOOK」データベースより】

①「貴族探偵」のキャラが抜群に良い

この作品の魅力は、まさにこれに尽きる。
なぜなら、この"貴族探偵"というキャラが唯一無二だからである。
探偵を名乗り事件に首を突っ込むのに捜査も推理も使用人任せ、一声で全ての警察がひれ伏すほどの権力者、キャラが濃く印象に残るのに素性や本名・性格さえ不明。
はたしてこんな探偵が今までにいただろうか。
捜査をしない探偵や、貴族出身で警察に権力を持つ探偵、ミステリアスな探偵くらいならいる。
しかし、これだけのクセを持ちながら魅力的な探偵はこの"貴族探偵"だけでしか堪能できないと思う。


②テンポよく、読みやすい内容

このミステリの最大の魅力は上記の"探偵のキャラ"になっている。
そのため、複雑な人間関係や舞台設定はないし、物語も短編集のためテンポが良い。
そんな内容もまた、"貴族探偵"のキャラを引き立てる1つの装置になっていると思う。

③キャラや設定を除くと、全体的に少し物足りない

①②で述べた通り、このミステリの最大の魅力は"貴族探偵"のキャラ設定である。
あらすじには斬新かつ精緻なトリックとあるが、そのあたりは期待せずに読む方が純粋に楽しめると思う。
もちろん麻耶雄嵩さんのミステリなので、期待外れな謎や納得いかない設定、バレバレすぎるトリックは存在しない。
それでもキャラの濃さが強い分、トリック等の印象はほとんど残らない。


以上が、大まかな感想となります。
マイナスの部分も書きましたが、それを補って余るほどの"貴族探偵"というキャラの魅力がたまらなく面白いミステリです。

麻耶雄嵩さんの小説は、「隻眼の少女」「螢」と読みましたが、どうも目線が独特というか肌に合いませんでした。
しかし「貴族探偵」は、読みやすく内容も分かりやすいので、今まで麻耶雄嵩さんの作品にハマらなかった人でもおススメです。
この作品が「本格ミステリ・ベスト10」で6位、続編の「貴族探偵対女探偵」が1位を獲得するなど、評価も高い。

せっかくの読書の秋。
こんなちょっと変わった探偵が活躍する、本格ミステリはいかがでしょうか。