うどん部屋

そこそこ家事をがんばるパパの、育児と読書中心の雑記ブログ

さだまさしの「親父の一番長い日」を語りたい

おはようございます、うどんです。

 

私は20年近く昔の中学時代、フォークソングにはまっていた。かぐや姫さだまさし、狩人などなど…。

周りがモーニング娘。に夢中な中、私はさだまさしの歌に涙していた。

 

そんな私が語りたい歌は、さだまさしの「親父の一番長い日」という歌。

12分30秒というとてつもない長さのこの曲は、1人の女性が生まれてから嫁入りするまでの半生を、父親との関係を中心に兄からみた目線で描いている。

 

歌詞全文はこちらで確認していただきたいと思う。

www.uta-net.com

 

全体を引用して語ると一年かけても語り切れないと思うので、一部を抜粋しながら語りたい。

なので、もしこの記事に興味を持った方がいたら、歌詞を確認したり曲を聴いてから読んでいただけると幸いです。

 

まず魅力的なのは、その歌詞である。

読んでもらえれば伝わると思うが、エピソードの選択がとても上手い。

 

それから親父は 占いの本と辞書と
首っぴきで
実に一週間もかけて

娘のために つまりはきわめて何事もない
ありふれた名前を見つけ出した

 

 

とか、

 

七五三 新入学 夫婦は狂喜乱舞
赤いランドセル 背負ってか 背負われてか
学校への坂道を 足元ふらふら下りてゆく

 

とか。

特別な光景ではないのに、光景が目に浮かぶ。

そして、親父の人となりが頭に浮かんでしまう。

そんな絶妙なエピソードのチョイスが並んでいる。

 

その後、学級対抗リレーでの活躍や学芸会などの場面を挟み、妹はどんどん成長していく。

 

妹の初恋は高校二年の秋
相手のバレー部のキャプテンは よくあるケース

結局言い出せる 筈もなく
枯葉の如く散った これもまたよくあるパターン

 

とか、

 

危険な年頃と 夫婦は疑心暗鬼
些細な妹の言葉に揺れていた
今は我が家の 一番幸せなひととき も少し
このままいさせてと 祈っていたのでしょう

 

時々心にグッとくるフレーズも混ぜつつ、妹は成長していく。

なんだろう。

段々と自分が妹の半生を追って、兄を超え、父親になった気がしてくる。

それくらい折々の印象的なエピソードが詰められているのである。

がんばれ、愛されながらも無事に成長して幸せになってくれ!といった具合に。

 

そして終盤には1人の若者が家に来て、

"お嬢さんを僕にください"

と言う。

 

ついにこの時が来てしまった!

どうする親父、どう答えるんだ!どうする!

 

いくつもの思い出が 親父の中をよぎり
だからついあんな大声を出させた
初めて見る親父の狼狽 妹の大粒の涙
家中の時が止まった

 

ああ、そうなってしまうのか!

これまでの話で感情移入しているので、親父の気持ちも妹の気持ちもわかってしまう!

大切な娘を渡したくない、しかし娘には幸せになってもらいたい…

 

“わかった娘は くれてやる
その変わり一度でいい
うばって行く君を君を殴らせろ”と
言った

 

おやじぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

かっこよすぎるよ親父!!!

この後結婚式のシーンで歌は終わるのだが、私は最後の親父の台詞で泣き崩れて毎回ほとんど聞いていない。

 

序盤は笑いも交えながらたわいもないエピソードを重ね、中盤で盛り上げて終盤でしっかり泣かせにくる。

「関白失脚」や「恋愛症候群」にもあるような、さだまさしの得意技である。

 

そして、これだけ歌詞の魅力を語りながらも、本当の魅力は歌詞を盛り上げるメロディと歌声にあると思う。

歌詞だけでも十分いいのだけど、読むだけなら感動的な小説を読むほうが楽しめる。エピソードのチョイスがうまいといっても、小説ほどの掘り下げはできないからだ。

 

しかしこの歌詞にメロディが加わり、さだまさしが歌うことによりとてつもない感動が生まれる。

歌詞に合わせて時にひょうきんに、時にしっとりと、時に力強く盛り上げるさだまさしの歌声。

美しく、しっかりと場面を彩り印象的に仕上げてくれるメロディ。

これら全てが合わさって一つの名曲が生まれている。

 

何度もリピートして聞いてしまう曲ではないかもしれない。

しかし、一度聞くだけでメロディとエピソードは頭に刻まれ、とても高い満足感を与えてくれる。

12分30秒という短い時間で、2時間の映画や長編の小説に劣らない感動を私たちに届けてくれるのである。

それがこの「親父の一番長い日」という名曲なのだ。

 

 

ちなみにこれだけ語りながら私のiPodには入っていない。

なぜなら聞くと泣いてしまうから。

1年ほど前、会社から帰る電車の中でこの曲が不意に流れ、めっちゃ泣いてしまった。

退勤時間帯に電車内で音楽聞きながらスーツ姿でボロボロ涙する私は、周りから見たらリストラされたか失恋したかとんでもないヤバいやつに見えたことであろう。

もしこの曲に興味をもって聞く人がいたら、聞く場所はしっかり考えたほうがいいと思う。